加圧蒸気とマイクロ波の併用加熱における加熱シミュレーションの構築及び形状および配置が伝熱挙動に与える影響の考察
概要 対象食品に応じた過不足のない最適な加熱を実現するうえで,加熱挙動を予測し品質設計に活用できる伝熱シミュレーションは有効な手段である.本研究では,高温蒸気加熱とマイクロ波加熱(以下MW加熱)を併用した加熱プロセスを対象とした伝熱シミュレーションを構築し,食品の形状及び配置が加熱挙動に及ぼす影響を検討した. 各種設定及び計算条件 モデル食品には,加熱に伴う反応や構造変化が少なく,均一な組成を有する市販グルコマンナンゲル(板コンニャク)を用いた.MW加熱単独,蒸気加熱単独,及び両者を併用した加熱条件について数値モデルを構築した.試料配置(単一配置(以後単一系)及び5個配置(以後複数系))ならびに形状(円筒形及び直方体)が加熱挙動に及ぼす影響を検討した.物理モデルには,RFモジュールの「電磁波(周波数領域)」及び伝熱モジュールの「固体熱伝達」を使用し時間依存解析を行った.また,試料表面には,時間依存の熱伝達係数および外部流体温度に基づく熱流束境界条件を設定した.なお,本モデルは,実機における加熱環境を模擬するように新たに構築した.計算条件は,蒸気温度120℃,試料初期温度20 ℃,MW出力264.6Wとした.MW照射は,周波数2450 MHzの矩形ポート境界条件としてモデル化した.コンニャクの2450 MHzにおける誘電特性は,ネットワークアナライザを用いて測定した実測値を物性値として用いた.さらに,数値計算の安定性を確保しつつ,蒸気・MW電場撹拌用金属プロペラの回転がモデル食品の加熱挙動および電界分布に及ぼす影響を評価するため, Eventsインターフェースを導入しモデル化を行った. 結果 円筒形では中心部から昇温する傾向を示したのに対し,直方体では中央端部から局所的に昇温する特徴が見られた.複数系では,中央に配置した試料の熱画像を取得した結果,形状による有意な差異は認められなかった.周辺の4試料においては形状によって加熱挙動が異なった.プロペラの回転を考慮したモデルは試料中央端部に発生した局所加熱が軽減され,加熱均一性が向上した.この結果から,試料の形状,配置及びプロペラ回転の有無が電場分布を変化させ,加熱挙動に影響を及ぼすことが示唆された. 結論 食品の形状・配置が加熱挙動に及ぼす影響を明らかにするとともに,MW加熱の併用による試料内部の昇温促進および加熱均一性の向上効果を示した.
下载
- COMSOLConference2026 池長柔羽 添削修正後.pptx - 2.95MB
