磁歪法を用いた鋼板における応力差分布のモデル的検証

孫 若冰1, 杉浦 邦征1
1京都大学
发布日期 2026

現在,既設鋼構造物の表面応力を評価するために様々な手法が提案されている。その中でも,磁歪効果を利用した手法は非接触で計測可能であるなどの利点を有する。磁歪効果とは,強磁性体が外部磁場により変形するとともに,その磁気特性が内部の応力状態によって変化する現象である。この特性を利用することで,磁気応答の変化から応力状態を間接的に評価できる。一方,既往研究は実験的検討が中心であり,励磁・検出条件と応力応答との関係について体系的な検討は十分ではなく,最適な測定条件も明らかになっていない。 そこで本研究では,COMSOL Multiphysics®を用いて磁気-力学連成有限要素モデルを構築し,磁歪法の測定原理を数値的に再現するとともに,検出深さおよび検出感度を定量的に評価し,鋼構造物の表面応力評価に適した測定条件を検討する。解析にはAC/DC ModuleおよびSolid Mechanicsを使用した。本解析モデルは独自に構築したものであり,Application Libraryのモデルは使用していない。モデルは鋼板,励磁・検出用の2つのC型銅コイルおよび周囲の空気領域から構成される。 解析では,Coil Geometry Analysisによりコイル条件を設定した後,鋼板に引張,曲げ,および引張と曲げを組み合わせた荷重状態を与え,Frequency Domain解析により検出コイルの誘導電圧を算出する。これにより,応力と検出電圧との対応関係を評価する。現時点では,引張応力および曲げ応力の変化に対する検出電圧の応答を確認している。今後は,励磁・検出条件が検出深さおよび感度に及ぼす影響を定量的に評価し,鋼構造物の表面応力評価に適した測定条件を明らかにする。