COMSOLとLLMによる金属積層造形プロセスの自動解釈とモード抽出

高岸 洋一1, 千葉 晶彦1
1東北大学 未来科学技術共同研究センター
发布日期 2026

 電子ビームを熱源とした金属積層造形である粉末床溶融結合(PBF-EB)法は, 金属粉末床を選択的に溶融・凝固させる精緻かつ効率的な造形技術として注目されている [1]. 近年, PBFは自動車や航空宇宙分野への適用が進んでいるが, ボイドやクラックの形成などによる造形品の品質安定化の課題があり, メカニズム解明や特性予測, 造形条件最適化に関する研究が活発に進められている[2] .  PBFプロセスは, 粉末床の伝熱, 溶融凝固, 組織形成, 表面張力に駆動されるメルトプール内の流動や表面不安定化などを伴う複合現象であり, 熱・流体・相変化・構造などのマルチフィジックス計算が実施されてきた[3]. 一方, このようなモデルは変数間の依存関係が複雑となり, 特にパラメトリック計算では大量のデータが出力されるため, 結果の解釈や意味の抽出に多大な労力を要する問題が残る.  最近, 我々は軽量な2次元の伝熱・相変化・組織形成モデルにおいて, 大規模言語モデル(LLM)を用いて大量の計算結果データを自動解釈する方法を提案した[4]. ここでは, 各パラメータと物理的意味との対応関係の分析により, 「現象の発見」や「モード検出」の可能であることを示した. 本研究では, この手法をCOMSOLによる3次元モデルへ適用し, より汎用性の高いスキーム構築および検証を実施する。  計算モデルでは, 形状10×10×10mm3, Ti-Al6-4V粉末によるPBF-EB造形プロセスを対象とし, ガウス関数型の熱源および等価比熱法を含む熱伝導方程式を用いた. メルトプール内の流動はCFDモジュールによりマランゴニ対流を簡易的に模擬し, COMSOL batchにより造形条件を変えたパラメトリック計算を実行した. 計算結果として, 代表時間における温度分布, 表面高さ分布などをVAE(Variational Auto-Encoder)により次元圧縮し, 数値上の特徴量とした. 一方, 同じデータをLLM(Gemma4: A4B)に与え, 現象の説明テキストを生成した. Sentence Transformers (paraphrase-multilingual-MiniLM-L12-v2) により384次元の埋め込みベクトルへ変換することで, 物理的意味の特徴量とした. Fig.1に全体のスキームを示す.  温度分布, 表面凹凸において, 数値上および物理的意味の特徴量はいくつかのクラスタが形成され, 複数の物理的なモードが存在することが示唆された. 一方, 両特徴量のクラスタは必ずしも一致しなかった. これは, LLMによる説明テキストが数値上のわずかな変化を捉えていることを示唆しており, 現象の自動発見につながる可能性が示された. 発表では, モード検出結果や本手法の適用限界についても紹介する。