COMSOL マルチフィジックス機能を使った音響シェード室シミュレーション

山崎桂子1, 阿部綾1, 萩原一郎1
1明治大学
发布日期 2026

コロナ禍を契機に、自宅で仕事や趣味に集中する環境を整える上で、防音対策の重要性が改めて認識されるようになってきた。そのため、昨今、図 1 に示す直方体の構造で、フェノール樹脂吸音材やポリエステル製の吸音材を、上下面を除く4面に用いた簡易音響室が既に販売されている。しかし多くは重量が 50kg~80kg であり、200kg のものもある。これに対し、同図に示す我々が開発した、側面4面の内、2面を紙製やダンボール製の蛇腹折り紙としたシミュレーションモデルでは、11kg と超軽量にして、遮音は重量が効くという常識を覆す、上述の販売品と同等の性能が得られている。 このような性能がどうして得られたか探る上で有効な、図 1 のモデルの、COMSOL マルチフィジクス音響シミュレーションで得られた結果の一部を図2に示す。同図は、特に効果のあった 800 Hz における蛇腹モデルのシェル面に蓄積された運動エネルギー密度および音響インテンシティを示したものである。同図から、音響インテンシティが蛇腹面に侵入後、内部で屈折・旋回し、外部へ細く流出する様子が観察され、特に折れ目付近で局所的に運動エネルギー密度が上昇していることは、音波との相互作用による共鳴的振動吸収が発現していることを示唆する。このような局所振動の励起とエネルギーの散乱・再配分は、直接音の透過を阻害し、シェード内外での音圧低下に寄与していると解釈できる。室内では、強い音の反射の抑制が期待されるが、図 1 の音響シェード室では、側面 2 面の蛇腹折紙構造の内壁は、短い波長で音波を散乱するので、特定の方向からの強い反射音が返ってこないという意味でも大変有用なものとなる。以上から、図1の蛇腹折り音響シェード室は、近隣間の騒音トラブル低減に寄与し、反射音の少ない快適なシェード内環境を創生するこ とを示した。